活動基準原価計算

みなさん、

こんばんは。

前回、働き方改革に関連して、「時間(残業)を減らし、かつ、売上を上げる方法」として、″付加価値活動”と”非付加価値活動”について説明をしました。

今日は、その考えの基となっている活動基準原価計算について説明をします。

活動基準原価計算とは

付加価値活動と非付加価値活動という考え方は、活動基準原価計算の考え方からきています。

活動基準原価計算の基本的な考え方は、活動がコストを消費するというものです。

従来の原価計算では、製品に直接紐づかない製造間接費は直接労務費等を基準に配賦されます。

原価計算が開発された当時は、少品種大量生産で人が中心となって製造していました。しかし、現在では、多品種少量生産、人ではなく機械が製造をしている割合が大きくなり、製造間接費の割合が大きくなっています。

従来の原価計算では、間接労務費や減価償却費や水道光熱費など様々な経費が製造間接費にプールされ、直接労務費などの基準を用いて配賦されるため、正確な製品原価を求めることが難しくなります。また、大量に生産される製品に実態より多く製造間接費が配賦され、少量生産される製品には実態より少なく配賦されることがあります。

その場合、売れている商品が本当は儲かっているのに儲かっていないようにみえ、売れてなく儲かっていない製品が儲かってみえてしまうことで、経営判断を間違えるリスクもあります。

このような従来の原価計算の問題に対して、活動基準原価計算ではコストを活動単位に集計し、製品がそれぞれの活動を使った割合で製品に配賦していきます。

工場内で行われる活動

製造現場では、加工活動、組み立て活動、検査活動など様々な活動により製品が作られていきます。

活動基準原価計算では、加工活動や検査活動といったそれぞれの活動単位に、その活動で使った労務費や機械の減価償却費などのコストを集計していきます。

そして、それぞれの活動に対して、各製品が何回使ったを基準にして活動コストを製品に配賦していきます。

例えば、検査活動として検査が全製品で1,000回行われる場合、A製品が10回検査を行ったのであれば10回分をA製品に配賦していきます。

非付加価値活動

一方で、工場では、加工活動など製品を作るために必要な活動の他に、手待ち活動など、製品を作ることと関係がない活動、つまり価値創造に貢献していない活動もあります。

活動基準原価計算では、手待ち活動のような価値創造につながらない活動のコストも把握していきます。

ABC原価計算は、機械の遊休時間や材料、工具の待ち時間、出荷の待ち時間、不良品の手直し、および廃棄処分のコストなど、何もしないことに伴うコストも計算する。しかるに、この何もしないことに伴うコスト、すなわち、かつての原価計算が把握できず、したがって把握してこなかったコストこそ、何かをすることに伴うコストに匹敵する大きさである。ときには上回りさえする。したがってABC原価計算は、これまでの原価計算よりも、コストの管理に優れているだけでなく、成果の管理を可能にする。P.F.ドラッカー著、上田惇生訳「明日を支配するもの」(ダイヤモンド社)

活動基準(ABC)原価計算は、製品コストを正確に把握するとともに、価値を作る活動と価値を作らない活動にどれだけのコストがかかったも把握します。

つまり、これが付加価値活動と非付加活動の考え方につながります。

非付加価値活動を減らし、付加価値活動を増やすことで、生産性が向上し成果を出すことが可能になります。

活動基準原価計算という管理会計の観点を用いて、働き方改革の成果につなげていってください。

 

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